13年間、ありがとう、りん
私は当初、犬を飼うことに消極的でした。共稼ぎのため、平日は不在。何よりも人生40年の間、一度もペットを飼った経験がありませんでした。動物を飼う事は大きな責任が伴うため、不安しかありませんでした。当時、小学3年生の息子がいたため、周囲から「ペットは子どもの教育にもいいよ」などと言われているうちに、知り合いから「ワンちゃん、飼いたいの?それだったら頼んでみるから」と、話はとんとん拍子に進み、いつの間にか、黒い子犬が我が家に来ました。それが「りん」との出会いでした。近所の方が、庭にゲージまで作ってくれました。「犬は反対」の立場で、家庭内でそっぽを向いていた私でしたが、なぜだか分かりませんが「りん」はいつも私にすり寄ってきました。予防接種を終え散歩デビューする時は、私がリードを握っていました。仕事から帰宅すると、「りん」はいつも玄関で待ち構え、朝晩の散歩は私の役目となり、それは心の運動にもなっていました。東日本震災、コロナ禍でも「りん」がいることで、家庭内は穏やかに過ごすことが出来ました。今年4月に腹部の膨らみが見つかり検査したところ、すでに手遅れの状態に。検査からちょうど3カ月で永眠。13歳でした。家族の手を煩わすことなく、静かに逝きました。「りん」を紹介してくれた方に手紙で訃報を知らせると、「大切に育ててくれてありがとう」と感謝の言葉を頂きました。「りん」にとって、そして私たち家族にとって、本当に幸せな13年でした。「りん」、ありがとう。
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