お父さん、俺、辛い。

お父さんのせいじゃないよ。もちろん。

お母さんのこと以来、医療職・介護職・福祉職・司法職その他諸々の立場を生きる人たちを、生身の個人として批判したり責めたりは決してすまい、自分以外の誰か・何かを撃つことがあるとすれば社会の風潮や制度のみと決めていた私だけれど。

人の心のさまざまの中でも最も醜いものをあらわにした奴らが、お父さんに寄ってたかってお父さんの身を食い破り、食いちぎってゆくのを、俺は止められなかった。

何をぼんやりしていたんだろう。どうしてもっと戦わなかったんだろう。誰に何のいい顔をしたかったんだろう。俺はつくづく自分に甘かった。

お父さん、ごめんね。

世の中と人の心のおそろしさを、お父さんは、私が社会に出るようになってからは折にふれ、「気をつけるように」と教えてくれていたのに。

お父さんの勇敢で立派な尊い一生の、最後の最後になって、あんな邪悪な奴らの手に、お父さんの命を委ねてしまった。

今回は、お母さんの時のように「こんな思いをする人が一人でも減るように」という気持ちには、なかなかなれない。よくも悪くも、がむしゃらになれない。ただただ毎日、へたれてる。

でも、大丈夫。

自分の心の中の醜いものから、俺は逃げないよ。「よく見なさい。一緒に見てやるから」と、阿弥陀様がご一緒下さるから。たとえ逃げようったって、もう逃げられないんだ、、、。

だから、じき、ちゃんと立ち上がって歩いてゆくよ。お父さんの子だからね。がんばるよ！

お浄土から、ずっと見ててね。一緒にいてね。南無阿弥陀仏。