小さなごまへ
ジャンガリアンのごまへ
わたしがうつ病で大学を留年した年にごまは我が家に来てくれました。
留年で同期の友人が先に卒業してしまいぼっちになったわたしのつらい卒論制作と国試勉強の時、あなたが大好きなにぼしを美味しそうに食べている姿に心が安らぎ励まされました。
あなたは小さな体でなかなかふてぶてしい子でしたね。
わたしが声を掛けても、自分の気が向かない時は無視して毛繕いしたり寝床を整えているようなマイペースな性格でした。
わたしは他人の目を気にして焦ったり慌ててしまう性格なので、そんなあなたの姿に学ぶ所がたくさんありました。
あなたがおばあちゃんになると何だか不思議なもので、老いて少し痩せてしまった小さな体に年の功というのか貫禄を感じさせていました。
わたしが仕事で精神的に参ってしまい休職になり一人で家で過ごしていた頃、あなたはおやつをねだりに、又はただの気まぐれでわたしをたまに覗き込んでくれたのでちっとも寂しいと思いませんでした。
あなたが2歳9ヶ月と長生きしてくれて、安らかに亡くなったのに今はとても寂しいです。
心にぽっかり穴が空いている、そんな感覚があります。
留年と休職の間に生死について知りたくてわたしはたくさん本を読みました。
本からたくさん知識は得たのに、あなたが生きて死んでいった姿よりも大きな学びはありませんでした。
あなたは自らの命をもって生きて死ぬこと、命の重みについて教えてくれたのですね。
ごまはわたしの大切な友達であり、小さくて偉大な師でした。
ありがとう。
大学時代うつ病を発症し、現在は薬で何とかコントロールしながら仕事をする日々。
働けている自分が好き、病気が再発して働けなくなった時自分の存在価値がわからない。
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