じいちゃん
じいちゃんが亡くなったのはもう10年くらい前です。老人ホームに入っていたのでよく母と一緒にご飯の時間に会いに行っていました。母と行くようになる前は、ばあちゃんが毎日自転車でじいちゃんに会いに行っていたけれど、まさかばあちゃんが先に急に亡くなってしまうとは誰も思っていなかったです。それまで毎日欠かさずじいちゃんに会いに行っていたばあちゃんがいなくなって、すごく寂しかったと思うのにじいちゃんは何も言わず寂しさを我慢していたと思います。ばあちゃんのお葬式で泣いているのを見た以来、じいちゃんは私の前では泣きませんでした。
そんなじいちゃんは癌を乗り越え、脳梗塞で半身不随になっても生き続けました。強いです。きっとばあちゃんがいたからだと思います。ばあちゃんがいなくなってからはご飯を食べていても年々細くなって、大きかったじいちゃんは小さくなっていきました。老いていくのが目に見えて、少し寂しく感じていたのを思い出します。それでも会う度に必ず、車の運転は気を付けろ、気を付けて歩けと言ってくれていました。小さくなっても私のじいちゃんだと思いました。余計な事は何も言わないけれど家族を大事にするじいちゃんです。
そしてじいちゃんは病気はたくさんしたのに、亡くなる時は老衰でした。入院したと聞いて病院に会いに行っても寝ている事が多かったのであまり話せなかったです。でも、息を引き取る直前、たまたま私だけがじいちゃんのそばにいておでこに手を乗せました。息が少し荒くなり、反応してくれました。近くにいた先生も、わかるんだね。と言ってくれて、涙が溢れておでこや腕をさすって手を握りました。会話はできなかったけれど、家族の中で唯一じいちゃんとの時間を少しだけ過ごしました。この時間の事は一生忘れられないです。
じいちゃんの孫で良かったです。大人になってからじいちゃんと話してみたかったです。ばあちゃんも。少し前に私が寝てる時におでこに手を置いてくれたのはじいちゃんですか?暖かくて大きな手だったと思います。ありがとう。また生まれ変わってもじいちゃんとばあちゃんの孫になりたいです。そうなれるようにみんなで頑張って生きていきます。