見守っていてね。

子供の頃から可愛がってくれて誰よりも心配性なおじいちゃんが天国に行ってから7年も経ったね。
その日は直接会いに行けなくて誕生日おめでとうと電話をしたらすごく喜んでいた声が忘れられない。
私が電話をして最後にまた遊びにおいで。待ってるから。元気で風邪引くんじゃないよ。って最後まで私の心配してくれてたね。
そのあと妹に変わったら、妹はおじいちゃんの異変に気づいていたよ。
電話を切った後に「おじいちゃんの声が変だった。あとね、最後にバイバイって言ったの。珍しいよね」って。
そのときは私も妹も気のせいかなって話してた。
その日の夜、友人と食事に行ってて、たまたまケータイを見たら母から30件近い不在着信がきていた。
嫌な予感がした。
「おじいちゃんが大変。帰ってきて」
怖かった。嫌な予感しかしなかった。
運転する手が震えた。
急いで病院に行ったらストレッチャーに横たわるおじいちゃんがいた。
頭が真っ白になった。
おじいちゃんが体調悪そうなのは前から気づいていて病院にいこって何度も言ったのに。頑なに行かないって。
わかってたんだね、自分の死が近いって。でもそのときは引っ張ってでも病院に連れていけばよかったって後悔した。涙が止まらなかった。
認知症のおばあちゃんがいたから心配で自分が入院するわけに行かなかったんだよね。家にいたかったんだよね。おばあちゃんのことが大好きなおじいちゃんらしい考えだなって今になって思います。
でも、私は会いたかったよ。最後に。声だけじゃなくて。
その日の夜布団に入ったものの眠れなかった。涙もたくさん出て、ただぼーっと天井を見てた。
気づいたら意識がなくなりそうにぼんやりした感覚になった。「泣かねでくれや。」おじいちゃんの声がした。
その後、通夜、葬儀。
初めて一番身近な人が亡くなったから苦しくて苦しくて。
おばあちゃんは認知症だったけど理解できてた。でも現実を受け止められず泣き崩れてた。
もっと一緒にいたかった。
お骨になったおじいちゃんを抱き締めたらとても重くて温かかった。
今もおじいちゃんと過ごした時間今も思い出すよ。
これから私は結婚したり子供ができたり年老いていくけど見守っていてね。

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