初めての2週間
マロンと出会ったのは今から何年前になるんだろう。まるで昨日のことのように思い出せるから、体温もにおいも鳴き声も、、不思議だなぁ。
初めて会ったのは、私の家の近くの公園だったね。段ボールに入って、黒いランドセルを背負った男の子たちに囲まれてた。最初見たときは、小さなネズミみたいで、すごく弱っていて、生きているのか死んでいるのかさえわからなかった。でも確かに小さな小さな体で一生懸命に息をしているのがわかって、小学生の男の子たちから、段ボールごと預かって、走って自分の家に持ち帰った。
まだへその緒もついたままで、目も開いてなかった。この生き物が猫かどうかさえ、生き物を飼ったことがなかった私にはわからなかったけど、そんなことどうでもよくて、この小さな命を守りたいっていう気持ちだけで、動物病院にお母さんと一緒にそのままむかった。あのときのことは必死すぎてあんまり覚えていないけど、病院の先生には母乳を飲んでいない猫は、早いうちに死んじゃうって聞いて、「絶対死なせるもんか!」って人間の赤ちゃんを育てるみたいに3時間置きに起きてスポイトで猫用のミルクをあげた。
すこしずつ元気になっていく姿をみて、大丈夫だって思った。栗のように茶色くて、可愛い可愛い「マロン」。「マロン」て名前、気に入ってくれてたのかなぁ。。お尻を濡れたティッシュでトントンすると、おしっこする。赤ちゃんの間は、おしっこも私がいないとできないんだ、この子には私が必要なんだ。そう思ったら、自分の時間なんて必要なかった。ネットでいっぱい調べて、マロンが大きくなったら・・って楽しみで、猫じゃらしで遊んであげるんだって、まだ歩くのもヨタヨタなのに。
それからすぐだった。・・2週間。私とマロンが一緒にいた時間はたった2週間だった。この2週間、あまりにも短くて、あまりにも幸せだったから。
朝おきたら冷たくなっていて、いつも大きな声でおなかすいたって、体震わせながら叫んで、生きたいって叫んでいたのに、冷たくなってた。「マロン」って呼んでも、返事はなかった。死んじゃうときはみんなは寝ているみたいって言うけど、私の目の前には寝ているマロンはいなくて、いつも温かくて柔らかいのに、つめたくて固い。何度責めたかな。私が寝ないでずっとみていたら、異変に気付けたかって。辛くて辛くて、大学もいけなくなった。目を閉じれば、マロンのにおいがする。マロンの声が聞こえる。忘れたくない。絶対忘れない。今も忘れてない。
言葉にすると悲しいことばかり書いてしまうけど、マロンと一緒にすごした2週間は、私にとって本当に本当に幸せで、今でも涙があふれる。
今でも大好き。ずっと大好き。私が天国にいったら、猫じゃらしで遊ぼうね。
ありがとう。
天国で走り回ってるかな。栗みたいにコロコロ寝転がってるかも。
会いたいなぁ、会いたい。
マロンの飼い主
出会えた日9月14日