じいちゃんへ
お元気ですか?今年の3月で一周忌。お盆に会いに行けなくてごめんね。行こうとすればすぐ行ける距離ではあるのに、少し気まずい気持ちと、お兄さんとおばさんたちに会うのが少し怖くて足が進まないのは事実です。
高校生から専門学生に上がる直前の春休み、最後の部活の発表会の前日に亡くなってしまったじいちゃん、あの時はバイト帰りで、亡くなってしまったことを知らされて、放心状態だったし、同時に次の日のことで頭が真っ白でした。大切な人の死より部活のことを考えてしまったあの時の私、最悪だったな、本当にごめんね。私にとってのおじいちゃんおばあちゃんは4人。母方は同じ市の同じ町内に住んでいて、よく会うし昔からたくさんお話しもする、でもじいちゃんたちとはたまにしか会えなくて、まとまってたくさんお話をしたことなんて多分ない。その格差にももやもやしてた。私の大切なおじいちゃんとおばあちゃんなのに、少し気まずかったし、楽しくお話しなんてきっとできなかったはずなのに、時間を見つけてはたくさんのお菓子と、美味しい野菜と、大好きなスイカ。持って会いに来てくれてありがとう。インターホンに気づかなかったとき、窓をとんとんしていて、カーテンを開けたら、にかっと笑っていたあの笑顔を思い出しました。じいちゃんの船にも乗せてもらったよね。あのとき、これ美味しいんだよな、って食べていたおせんべい、いまだに見るたびあの日を思い出します。思い出なんてあげればたくさんあって、未だに遺影を見ても、そこからにゅるっとでできそうな感じがしてしまってならないです。三年生の最後の演奏会、来てくれてありがとう。私の6年間の集大成、見せられて、聴かせられて本当によかった。ソロもばっちり吹けたの、見てくれてたかな。感想、私がそっちに行ったときたくさん聞かせてね。言いたいことはたくさんあるけど、危篤状態になったとき、会いに行かなかったのはじいちゃんのことが嫌いだったからじゃない。元気な姿のままのじいちゃんで、記憶を止めておきたかったからです。
そのあとに寝ている姿を見たけど、とっても綺麗だった。でも、死を受け入れたくなんかなくて、さわれなくて、直視もできなかった。怖いって気持ちもあった。これから医療に携わろうとしている人間がこんなんじゃダメだってすごく思ったけど、やっぱり、悲しみなんて抑えられなかった。
じいちゃんともっとたくさん会いたかったな、お話ししたかったな、じいちゃんの持って来てくれる野菜は本当に美味しかったです。今は痛みや苦しみから解放されて、少し楽になったかな。元気に、あの笑顔で笑っていてくれたらすごく嬉しいです、また70年後くらいに、会える日を楽しみにしてる。そのときはあのおせんべいまた食べようね、スイカも食べようね。どうかお元気でいてください。